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必要な方に届きますように⑤

今回は、栄養療法に関心を寄せるきっかけになった「オーソモレキュラー療法」について簡単なお話です。

Orthomolecular nutrition and medicineは、ライナス・カール・ポーリングとエイブラム・ホッファーらによって支持された考え方で、「生体内に正常にあるべき分子を至適濃度に保つ充分量の栄養素を摂取することによって生体機能が向上し、病態改善が得られる治療法」と訳されています。

もう少し柔らかくいうと、病気の原因には、からだや細胞の栄養素のアンバランスがあることに注目し、タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルなどの栄養素量を本来あるべき状態に調節することによって、自然治癒力が上がり、病気の改善、病気と老化の予防、さらにはよりよい健康状態にするものである、となります。

ライナス・ポーリングは、個人に対して正しい量の正しい栄養分子の使用に焦点を当てており、栄養摂取基準で推奨される量より数倍多くビタミンやミネラルを摂取すると主張しています。ようするには、欠乏症を予防・治療するための量では足りず、メガドーズ(大量摂取)が必要です。

私も学び始めたころは、高含有量のサプリメントをいくつも試しましたが、その後は、何かに特化して観察したい時には単体で摂ることもありますが、基本的には日々の食事のみになりました。

クリニックでは断薬中にはサプリメントを併用する方もおられますが、経験を重ねていく中で、食材からの広く浅い栄養素をとることが大切であり、三大栄養素を重要視しながら組み立てればビタミンミネラルもついてくるので、質や量のバランスと、日常的に継続可能な献立や買い物のコツをお伝えすることが多くなりました。食事以外にも、睡眠、入浴、運動、スキンケアなどの小話とともにポジティブになれるように気を付けています。

私は食事は15年ほど試行錯誤していますが、先日血液検査値を見た知人(医師)にこういわれました。「長く栄養的に気をつけてきた人の数値ってこうなるんだなという結論だと思うよ。あとは年齢からくるちょっとしたものはお灸してみたり、東洋医学的な気血水で対応していけばいいんだよ。」

そう言われて、やってきたことはまぁ良かったのかなぁと嬉しく思う反面、同級生は皆アラ還に足を突っ込み始めましたし、環境的にも決して素晴らしいとは言えない日本の関東に住んでいて、果たして寿命まであとどのくらいのものでしょう。

これからしばらくは、娘が成人として自分に責任を持てるまでさりげなく囁き続けつつ(笑)、クリニックでは出会った患者さんに対して、それから子ども達に直接声を届ける機会はなかなかないので、子育て中の親世代に、自分を作っているのは自分、子どもの健やかな心身は親から、ということを身近なところから伝えていきます。つづく

 

必要な方に届きますように④

2013年4月、東京御徒町にTokyo DD Clinic開業と共にNPO法人薬害研究センターの運営スタッフとしてお声掛けがあり働かせていただくことになりました。

それまでの活動の引き続きでもありましたので、当初はほぼ100%が向精神薬の減薬断薬を希望する患者さんでした。長いこと調剤薬局にいたので驚きこそしませんでしたが、経験したことのない対応の毎日でした。患者さんは、精神科領域の構造への理解を深める勉強をし、減薬と共に低温サウナでの解毒、栄養補助と食事の見直しなど断薬プログラムのための通院をします。ご本人の発想の転換と深い理解、家族や周りの人の理解と協力がなければ、なかなか厳しい道のりで、すべての人が断薬に成功するわけではありませんが、卒業できた方はそれぞれの思いを一言クリニックの掲示板に残していかれ、それを読むと一人でも多くの人があとに続くとよいなと思います。

その後保険診療から自費診療への切り替えと「医者に頼らなくてもがんは消える~内科医の私ががんにかかったときに実践する根本療法」が出版されたことによって、がん、難病など様々な病態の方やご家族が来院されるようになりました。

2015年頃から、精神セッション、食事指導、ホメオパシー医学、量子医学、東洋医学、キネシオロジー、温熱療法、アロマテラピーなどを患者さんに合わせて組む内海式プログラムが整っていきました。

内海氏はクリニック以外にも、通販運営会社、保育園事業、多機能型就労支援事業などの経営、日本母親連盟の代表を務め、多方面の団体や企業とかかわられてこられました。中には袂を分かつことも多々・・多々・・

陰謀論者だとか偏っているとか、またその直球すぎる物言いに、あからさまに嫌いと言われたり、批判されること多々・・多々・・

私はそれらのほんの一部しか知りませんが、師事する気持ちは変わりません。常に表と裏を見る洞察力と、歴史や基礎の知識量はまねできるものではありませんし、医学に対する一貫して変わらない姿勢が納得いくものであり、広い範囲で道しるべとなることを示し続けている姿を見ているからでしょう。

医者なんてやめたいだの虚無主義だのしょっちゅう言っておられますが、ある時クリニックの存在意義についてこう話しているのを聞きました。

「神ではないので絶対に治しますとは言えない。しかしながら、DDクリニックとの出会いが、その人が何のために生きるのかと問い直すきっかけになってもらえたら、少しは医師をやっている意味があるのかと思う」と。

何のために生きるのかなんて、なかなか一言でいえることでもありませんが、少なくとも自分なりの健康で暮らし、まあまあいい人生だったなと言いながらあの世にいけるようなそれまでを、と思います。つづく

必要な方に届きますように③

2020年8月に内海聡先生の最新本「薬に殺される日本人~医者が警告する効果のウソと薬害の真実~」が出版されましたので、一部引用しながら、30代の頃疑問に思っていた薬について簡単にまとめます。

よく一例にされるのが、風邪やインフルエンザに薬は必要かということ。どちらもウイルスが原因でおこる感染症で、発熱、頭痛、鼻水、せき、腹痛などの症状が出ますので、病院に行けばそれぞれの症状に対する薬が処方され、ドラッグストアに行けば複数の成分が混ざった総合感冒薬をすすめられます。社会人であれば、熱があると仕事を休まなくてはならず困るので、とりあえず熱を下げたい、子どもであれば、熱で辛そうでかわいそうだから下げたい、と薬を服用し普通は何日か経過すると治りますが、それは薬ではなく自己治癒力や免疫力といわれるものが治しているのです。それで結果オーライではないかと思うかもしれませんが、薬は病気の治りを遅くしたり、かえって悪化させたり、他の不具合を起こしたり、何らかの弊害につながる可能性があることが問題なのです。

風邪の次に一般的なものは高血圧、脂質異常症、糖尿病、眠れないなどの生活習慣病の薬でしょうか。病院の待合室で薬の数自慢をするお年寄りのことが笑い話になるほどたくさんの方が服用しています。自分の生活習慣が招いた状態や、必要に迫られてあらわれている状態を、基準数値から外れているからといって、果たして薬で抑えたり、隠したりしていいものかどうか。服用を続けていると、認知症やがんになるリスクが上がる、感染症にかかりやすくなる、最悪の場合は死亡する危険性があります。

本書のなかに、アメリカの病院でおこった医原病に関する統計という表があるのですが、”病院での医薬品の悪影響、ミスではない投薬による死亡者数”が、他の医原病と比べて桁違いに多い数字です。内海先生が考える必要な医療12項目を頭の中に入れて、薬による医原病を防ぐために、必要な薬と不必要な薬を見極め、本当に必要な薬であってもリスクがともなっていることを忘れないようにして欲しいと言っています。医療を盲信しすぎることなく、自分で調べて正しい知識を身につけ強い体をつくるようにしましょう。

・交通事故、外傷、熱傷、骨折などの救急医療。

・心筋梗塞、脳梗塞などの梗塞性疾患の症状が急激に進行したことに対応する医療。

・誤嚥による窒息、溺水、低体温などの救急医療。

・肺炎、胆管炎、髄膜炎などの命を落とす危険性の高い重症感染症に対応する医療。

・腸閉塞、無尿などの排泄関係で生命にかかわる救急医療。

・がん、脳卒中、潰瘍などからの出血に救急対応するための医療。

・失明、聴覚喪失などを防ぐための救急医療。

・毒物の暴露や薬物中毒症に対応する医療。

・遺伝子や染色体などの異常が100%原因でおこった疾患に対応する医療。

・胎盤剥離、臍帯ねん転、分娩時臍帯巻絡などの産科に関する救急医療。

・未熟児を管理する医療。

・サイトカインストームなどの免疫に関する重篤な異常状態を処置する医療。

その他の薬、ワクチン、抗がん剤など、また医学界の構造について、ぜひ本書をご一読ください。

出会った当時は牛久にて開業されていましたが、2013年4月東京での開業に向けてご縁が繋がることになりました。

次回は、開業から現在までの変遷について。つづく