11月1日(土)脂質の勉強会

皆さま、こんにちは。
NPO法人薬害研究センター所属の森由美と申します。
来る11月1日(土)東京本部にて
「脂質の勉強会 1&2 (特別編)脂質の基礎、油脂各論と食事への取り入れ方」
を担当させていただきます。
センターでは、患者さんの食事指導や脂質・栄養学の講師など、栄養に関する業務を担っていますが、私の持つ資格は薬剤師です。
薬剤師として現場に立つ中で、病気の改善や予防に本当に必要なのは薬だけではなく、日々の食事や栄養、そして生活習慣の積み重ねなのでは?ということを考えるようになりました。
薬に頼る前に、まずは食べること、動くこと、整えること。
内海先生との出会いのきっかけにもなった「分子栄養学」を学び、現在は栄養指導を通じて、油脂を含む栄養の本質を伝え、ご自身で心身を根本から整えるサポートをしています。
「油」と聞いて、あなたはどんなイメージを持ちますか?
「太る」「酸化する」「体に悪い」「でも美味しい」
若干ネガティブで複雑な感情が入り混じっているかもしれませんね。
今、SNSや健康番組では「油=四毒のひとつ」として取り上げられることもあります。
一方で、オメガ3脂肪酸のように「摂るべき油」として注目されるものもあり、情報は錯綜しています。
油は敵か味方か?
そんな脂質の“二面性”を理解して上手に利用するためには、やはり基本が大切です。
内海先生の栄養講座やクリニックでの患者指導では常に脂質の重要性を伝えおり、薬害研究センターではそのサポート勉強会を定期的に開催しています。
とくに「油脂」は、誤解されがちな栄養素ですが、ホルモンや細胞膜の材料となり、心と身体のバランスに深く関わっています。
そのため、基礎と各論を2日間にわたって丁寧にお話していますが、今回は土曜日1dayで、脂質の構造からホルモンとの関係、料理への活かし方まで、油の“キホンのキ”を楽しく、わかりやすくお伝えします。
日本における油脂の歴史として、「えごま油」は5500年~1万年前の遺跡から栽培の痕跡がみつかっており、日本最古の油として伝わっています。その当時は食用としては、宮中など一部の人々の間でしか使われておらず、一般的には江戸時代まで油は食用ではなく「灯り」のものとして使われていました。
そのころ中国風の料理が入ってきて、庶民にもえごま油や菜種油が食用として広まっていき、明治時代に入ると、西洋料理の普及とともにサラダに合う油として菜種油などを精製したサラダ油が一般家庭にも浸透していきました。
20世紀半ばでは、菜種油、大豆油、ゴマ油、牛脂、豚脂、魚油、鯨油などが使われており、現在のように種類豊富になるのは、もう少し後のことです。
大豆搾油は肥料用の豆粕が主目的で、大豆油は副産物扱いでした。それが戦後になると、大豆油の生産量は急増し、アメリカからの大豆輸入に依存しながら、家庭用・業務用油として定着していきました。
特に1950年代以降、大豆油は「安価で使いやすい植物油」として、揚げ物文化の拡大とともに日本の食卓に浸透していきます。
一方オリーブ油は、古代地中海文明から続く伝統的な油脂です。
食糧事情が良くなると、生活習慣病(当時は成人病と呼んでいました)、がん、アレルギー、うつ病などが増加してきました。
1970年代にアメリカ・日本を含む7か国で動脈硬化が招く心臓病の原因を探る目的でオリーブオイルの研究が行われました。
死亡率は日本食が一番低かったのですが、なぜかギリシャ人の低死亡率に着目が集まり、地中海式食事法が健康ブームのきっかけを作ることになりました。
魚介類を食べる地域ほどEPA・DHA(抗炎症作用のエイコサノイドに代謝される脂肪酸)の摂取割合が多く炎症が起こりにくいということよりも、オリーブオイルのオレイン酸が動脈硬化を予防するという神話がつくられ、これを機にオリーブオイルは「体にいい油」として人気を集めます。
先ほどの大豆由を含め、消費増加を促すための米国の余剰農産物政策と、日本政府、総合商社の工業と経済の動きに乗って浸透してきたのです。
今も、私たちは錯綜する情報の中にいて、「選ばされた油」を使っているとも言えるのかもしれませんね。
さて、話題を変えて。
私はお弁当用の常備菜として、切り干し大根やひじきの煮物をよく作りますが、必ず人参や油揚げをいれます。たまに油揚げを切らして入れないで作ると、その美味しさとコクの違いを実感します。
小松菜の煮びたしも、小松菜と出汁だけでももちろん美味しいですが、油揚げと一緒に煮ると旨味やコクが増します。これは、マスキング(コーティング)効果や油脂の香気成分のなせる業。風味の違いだけでなく、料理のツヤや色など見た目の違いにもあらわれます。
人参シリシリもツナ缶のスープだけで炒めた後にオイルをまわしかけると、油の酸化を抑えることが出来つつ、人参の脂溶性ビタミンの吸収率が上がります。
微量な匙加減で料理がおいしく仕上がる油ですが、ただの調味料というだけではなく、栄養素の吸収にも関わったり、細胞を構成したりと大活躍。
「脂質」は三大栄養素のひとつであり、糖質・タンパク質と並び、私たちの生命活動に欠かせない存在です。
脂質の役割は多岐にわたります。
・エネルギー源
・細胞膜の主要構成成分
・ホルモンの原料(特にステロイド系)
・脳神経の潤滑剤
・免疫や炎症の調整役
近年研究が進んでいるのは、脂質から作られる「エイコサノイド」という生理活性物質について。
これは、炎症・免疫・血圧・気分など、私たちの体調や感情に深く関与しています。
オメガ6由来のエイコサノイドは炎症促進型、オメガ3由来は炎症抑制型として知られていますが、DHAやEPAはセロトニンやドーパミンの感受性に関与しており、うつ病やイライラに対する研究も多数あります。
また、オメガ3脂肪酸から抗炎症作用のエイコサノイドに変換する酵素活性には個人差がありますが、それを補うべく、食材に含まれる微生物が作り出す酵素や、私たちの腸内細菌が作り出す酵素に注目し、オメガ3食材の力を引き出す食材の食べ合わせの研究が進んでいます。
例えば、マグロ、納豆、アボカド、オクラのネバネバ小鉢は最高の組み合わせだそうですよ!
また、脂質はホルモンの材料としても重要です。
三大栄養素はそれぞれ代謝されて、ミトコンドリアの中でアセチルCoAに変換されます。それが必要に応じてエネルギーになり、エネルギーが足りてくると、脂肪やコレステロールに回されます。この流れを知っていると「コレステロールが高い」と悪い、「コレステロールが低い」と善いのではなく、代謝のバランスのサインとして見ることが出来ます。
コレステロールは、エストロゲン・テストステロンなどの性ホルモンや、炎症に関わるコルチゾールなどの副腎皮質ホルモンの原料ですから、極端な脂質制限をすると、月経不順・更年期症状の悪化・ストレスや炎症への抵抗力低下などが起こることも考えられます。
脂質の役割は単なるエネルギー源だけではなく、脂質を正しく摂ることで、脳神経細胞の情報伝達がスムーズになり、ホルモンのリズムが整って、気分・睡眠の質まで変化する可能性がある栄養素です。
もちろん、油脂の選び方や摂取量によっては、健康へのリスクをはらんでいます。
揚げ物、ドレッシング、パン、スナック菓子、加工食品などその多くに使われているのが、現代型の油脂―パーム油、オメガ6系油、トランス脂肪酸です。
パーム油は、アブラヤシの実から搾り取れる油で、その汎用性から様々な加工食品に使われ、最も安価で大量生産されています。2010年~2030年の20年で、パーム油の生産量が約3倍になると言われていて、その生産に伴う開発は東南アジアの森林破壊をもたらす主因として問題視されています。
私たちの健康に対しては、動脈硬化や心疾患のリスクを高めるなどの影響が懸念されています。
オメガ6系脂肪酸は、身体に必要な必須脂肪酸ですが、体内で炎症を促すエイコサノイドに変換されるため、摂りすぎることでアレルギー疾患や生活習慣病のリスクが懸念されます。本来はオメガ3とのバランスが重要なのですが、現代の食生活では、オメガ6への極端な偏りが起きている人も。
トランス脂肪酸についてはWHOが2018年に、2023年末までに世界の食品からトランス脂肪酸を完全に排除するという目標を設定したことは、皆さんもご存じだと思います。
心疾患のリスクを高めることや、副産物のジヒドロ型ビタミンK₁が、骨粗鬆症、出血性疾患、動脈硬化、糖尿病などの発症に関わっていることがわかっています。
どう選ぶ?どう避ける?
冒頭で述べたように、油は「太る」「悪い」だけではありません。
選び方と使い方で、美味しく、健康の味方にもなります。
この勉強会で、脂質の基礎を知り、食卓への活かし方を再確認しましょう。
また勉強会の最後に、希望者にはクリニックで採用している「脂肪酸測定」を実施します。
細胞膜を構成する脂肪酸の割合から、オメガ6とオメガ3のバランスを可視化することが出来るので、具体的な食生活の見直しの参考になるテストです。
ご自身の脂質に関する食生活がダイレクトに反映された脂質バランスがわかるので、がんや心血管系疾患などの予防に活用できます。しかし、日本では動脈硬化などの病名がつかないと測る機会がありません。
指先から自己採血するので、一人だとちょっと躊躇するかもしれませんが、みんなでやれば怖くない!私もサポートしますので、ぜひこの機会にご自身の脂肪酸バランスをチェックしてみてはいかがでしょうか?
皆さまにお会いできるのを楽しみにしています。
勉強会にご興味をお持ちいただいた方は
下記URLより詳細をご確認いただけます。
内海 聡 (うつみ さとる)【東京本部】「脂質の勉強会 1&2(特別編) 脂質の基礎、油脂各論と食事への取り入れ方」 – リザスト
